一般社団法人ビジネスカラー検定協会は、ステイホームに関連したアンケートを実施しました。「Stay Homeの中で感じる色彩についてのアンケート」と題し、自由記入式で調査を実施しました。今回の調査結果を当協会の色彩心理の解説とメッセージを添えて報告いたします。
◇1. 『Stay Home』中に1番癒された色を教えてください。
●約40%が「ブルー系」、約16%が「グリーン」
この質問への回答は、1位が「ブルー(20%)」2位が「アクア(水色)(17.3%)」3位が「グリーン(16.4%)」となりました。
各色の色彩心理について、「ブルー」は包容力や信頼・誠実さをイメージさせる色、「アクア」はサポートや優しさ、清涼感を連想させる色です。
空や海を思わせるブルー系の色は、開放的であり同時に私たちを包み込んでくれる色です。『Stay Home』中に窓から垣間見る空の色に、まもなく訪れる自由な日々を重ね合わせて癒しを感じたのではないでしょうか。
「グリーン」はバランスやゆとり、再生をイメージさせる色と言われています。植物のグリーンのひたむきな生命力と日々の成長力に励ましのメッセージをもらった人も多いのではないでしょうか。
Withコロナの生活下で外出が思うようにできない中で、水や植物といった自然から得られる爽やかで優しいエネルギーを花や植木などから取り入れることで癒された人も多いのかもしれません。
この三色の特徴として、色を見たときのホルモン分泌の影響で、安心感を覚えると言われています。世情不安が続き日々緊張感を感じている中で、無意識の内に色を通して安心感を得ている人もいるのではないでしょうか。「グリーン」には、スペースという色彩心理もあり、ソーシャルディスタンスを保ち人との距離が物理的にも精神的にも離れつつある今、1人の落ち着いた時間を大切にしたい人たちにとって、これらの色は会えない人の代わりにその人に寄り添ってくれるような安心感を与えているのかもしれません。
また「一番癒された色は以前から好きな色と同じですか?」の設問に対し、自分の好きな色ではなかった色に癒された人が40%近くいることは、これまでの日常とは違う中に救いを求める心理とも受け止められないだろうか。
◇2. 「新型コロナウイルス」に対して何色のイメージがありますか?
●約25%が「レッド」と回答
この質問への回答は、約25%が「レッド」、続いて約20パーセントの人が「ブラック」「グレー」と回答しました。
それぞれの色を回答した理由は、「レッド」が東京アラートの色だから。「ブラック」「グレー」はメディアで使われている新型コロナウイルスの画像が白黒だからという意見が多くみられました。これらの結果から色のイメージはメディアなどの影響を多く受けやすいといえます。
また年代別にこの結果を見ると、最も多い回答は20代と30代では「レッド」、40代では「ブラック」となりました。「レッド」には情熱やエネルギーのイメージがあります。20代、30代は、新型コロナウイルスに対してウイルスの猛威や勢いや恐怖をより感じていることが想像されます。「ブラック」には真っ暗闇と暗闇に差し込む一筋の光を求めるイメージがあります。40代はコロナ禍で先行きの見えない社会への不安と暗闇の中で今後の自分の方向性を探している状況が感じられます。
「グレー」は白黒をつけない曖昧さやどちらにも決めなくてよい逃げ場をイメージさせます。未知のウイルスに対して、どのように対処して良いのか分からないまま、時間が過ぎるのを待っている状態を象徴しているかもしれません。
◇3. 『Stay Home』中に見ると疲れた色を教えてください。
●約50%の人が「レッド」と回答
この質問への回答は、47.3%の人が「レッド」を選択しました。
この設問にはその他を含めて16色の選択肢を設けていましたが、約半数の人が「レッド」と答えたことになります。加えて興味深い点は「この質問で答えた色は以前から嫌いな色ですか?」に対しては、82.7%の人が「いいえ」と回答しています。レッドは嫌いな色ではないものの『Stay Home』中に見ると疲れてしまう人が多くいることがわかりました。
これは◇2の設問で「新型コロナウイルス」のイメージに対して「レッド」と答えた人が4分の1あったことと何かしらの関係性があるとも考えられます。『Stay Home』中の努力と忍耐からくる疲れと、新型コロナウイルスのイメージだと答えた「レッド」が重なったのかもしれません。レッドを見るとアドレナリンが分泌され血圧が上がり活動的になるとも言われています。今回コロナ疲れを感じる中で癒しを求めている時には、「レッド」は強いエネルギーを感じすぎるのかもしれません。
◇4. 医療従事者の方へ感謝の気持ちを込めてプレゼントをするとしたら何色の袋で包みますか?
●「ピンク」24.5%、「ホワイト」23.6%、「ブルー」12.7%、「アクア(水色)」11.8%【「ブルー系」24.5%】
「ピンク」は「愛」を連想させる色です。愛には様々な種類があり、自分への愛や無償の愛などありますが、そういった「愛」を包括する優しさや温もりを持って医療従事者の方への感謝を伝えたいという気持ちが現れていると言えるでしょう。実際に「ピンク」を選んだ方はその理由について、ハートの色だから、また明るく優しい色だから、との意見が多く「ピンク」は心の温もりを伝えられる色だと感じている人も多い色だと言えるでしょう。
「ホワイト」は清潔や浄化をイメージさせる色で夜明けやリセットを想像させます。白を選んだ理由にも清潔な感じがある、白衣の色で爽やかなイメージがあるからといったものが多くありました。苦しい状況の中でも患者さんに寄り添って行動している医療従事者の姿勢や誠意はまさに清廉潔白であるといえます。
そして3番目に多かったのは「ブルー」(12.7%)とそれに続く「アクア(水色)」(11.8%)で「ブルー系」として捉えると、合計で24.5%です。これは◇1の「『Stay Home』中に1番癒された色」の1位と2位の色です。選んだ理由として最も多かったのはブルーインパルスや青空を連想させるためといった意見でした。医療従事者の方への感謝の気持ちを込めて青空に羽ばたくブルーインパルスの姿は人々に勇気と空高く向かう明るい未来のイメージをもたらし、見た人の心に鮮明にその記憶を残しているのではないでしょうか。
医療従事者の方々に対する様々な感謝の気持ちが、色を通して伝わってくる結果でした。
◇5. 総評
●カラーで自分の潜在意識に気付く。
今回『Stay Home』に関するアンケート結果をみると、何かの映像や報道が色に対するイメージを人々に与えていることが感じられます。前述した新型コロナウイルスに対するイメージカラーに「レッド」が多く挙げられたことにも、東京アラートを示すライトアップが「レッド」だったことも何かしらの影響を与えているとも考えられます。色のイメージは無意識化で培われているのもであり、今後も注意深く検証していきたいと考えます。
「新型コロナウイルスを色でイメージしたことなんてなかった!」というお声もいただきました。今回のように様々なモノ・現象などに対して「これを色で表すとしたら」の問いに対して、それらを想像し色を答えてもらいました。そしてその色に決めた理由を考えてみると、直球で「『Stay Home』中はどんな気持ちだった?」と聞かれるよりも、自分自身の意外な潜在意識に気づかされることがあります。
◇6. 調査概要
●調査期間:2020年6月13日~6月15日
●調査対象:20代~40代の男女100人
●調査方法:インターネット調査
●色の表記:ビジネスカラー能力検定(R)の表記に従い表記
*「アクア」=「水色」
*「アンバー」=「茶色」
※集計値は小数点第2以下を繰り上げで表記しています。